【女子ワールドカップ】スペイン―イングランド

なでしこジャパンのカウンターの餌食になって敗れたスペインが、その後は盤石の強さを発揮してワールドカップ初制覇にたどりついた。決勝ではスペインもイングランドも再三サイドからDFとGKの間にクロスを入れるオーソドックスな形を見せていたが、決勝点となったゴールはここしかないという空いたファーのコースにコントロールされたシュートを打ち込んだもの。両GKとも攻守を見せていた中での、一瞬の隙だった。

僕が注目したのは、後半にスペインがPKを獲得した場面。イングランドのGKが先に動いているのに、その方向に蹴ってしまって失敗している。リードしている場面だったので結果に影響は与えなかったとはいえ、これを決めていれば楽な展開になっただけにスペインとしては悔やまれるだろう。遠藤保仁のPKを見てもわかるように、いかにGKを先に動かすかがポイントのプレーなので、女子サッカーのレベルはまだまだ向上の余地があることを暗示していたように思う。

そもそも、一昔前の女子サッカーの強豪は米国、中国、北欧にドイツ。ブラジルもフランスもオランダも、レベルを上げたのは最近なのだ。ちょっとした強化と育成が成果に結びつくだけに、落ちてしまう可能性も高い。なでしこジャパンにしても東京オリンピックと同じベスト8だったとはいえ、内容も注目度も格段に上がった印象がある。「優勝チームに唯一勝った」事実を糧に、パリに向けてさらに引き上げてもらいたい。