【ドラマ】グッド・オーメンズ

アマゾンスタジオとBBCが製作したドラマで、キリスト教的な歴史観を風刺しつつLBGTQを含むダイバーシティ問題や人生のあり方などに切り込む意欲作だ。シーズン1は誕生する反キリストをすり替えようとして、ターゲットを誤るところから始まり、一方シーズン2は大天使ガブリエルが記憶を失った状態でロンドンに裸で現れるという先が読めない展開だ。

天使アジラフェルと元天使の悪魔クロウリーのコンビを中心に物語が進行するが、このふたりの演技が素晴らしい。アジラフェルを演じるのは、演劇界の重鎮マイケル・シーン。その昔、銀座セゾン劇場で上演された蜷川幸雄演出の「ペール・ギュント」で主演していた舞台を鑑賞したことがある僕にとっては、懐かしさすら感じさせる「再会」だった。そしてクロウリー役のデイヴィッド・テナント「ドクター・フー」や「ジェシカ・ジョーンズ」などにも出演している。ふたりとも舞台出身だけに、本作の特徴でもある演劇的な空間によくなじんでいた。

キリスト教の歴史感を理解できていないとついていけない部分があり、笑えない箇所も多いのだが、それでも十分雰囲気から伝わってくるものがあるので、僕のようにそれなりには楽しめるだろう。天使と悪魔の対立ではグロい描写も登場するのだが、天国をエレベーターで訪れるスタイリッシュな空間に位置づけるなどビジュアルとして作り込まれているので、その点も見逃せない。