【国立新美術館】エルミタージュ美術館展

国立新美術館では、セザンヌ展とエルミタージュ美術館展が同時開催されています。僕は基本的なポリシーとして、一日に複数の展覧会を回ることはできるだけ避けています。疲れてしまうというのも理由のひとつですが、キュレーターの込めた思いをしっかりと受け止めたいからという方が強いですね。

さて、エルミタージュ美術館展は年代順に作品が展示されています。最初の方は宗教画が多いのですが、キリスト教のバックグラウンドがない僕にとって理解は簡単ではありません。モチーフがわかりやすい風景や人物になってくると、徐々に感性にヒットしはじめます。僕の琴線に触れるのは、適度にファンタジー要素を含みながら写実性のある作品なんでしょうね。

今回印象的だったのは、コーカソイドの白い肌。複数の作品で見られたのは、いかにもロシア的です。特にピエール・ナルシス・ゲランの「モルフェウスとイリス」は逆光に照らされた男女の神の透き通るような肌に思わず足を止めました。また、オラース・ヴェルネの「死の天使」も、病的ながらどこか魅力的な白い表情に惹かれるし、ジュール・ジョゼフ・ルフェーブルの「洞窟のマグダラのマリア」も官能的とすら言えます。

さらには、レンブラントルーベンスピカソマティス、モネらのマスターピースもあり、それだけでも十分に元が取れますね。全体的に満足度の高い展覧会で、コストパフォーマンスも十分です。

http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/index.html