【ダリ回顧展】意外な初期作品

混雑しているらしいという情報と低俗なテレビCMで行く気を失っていた上野の森美術館の「ダリ回顧展」ですが、タダ券をいただいたので鑑賞してきました。10時開場とのことでしたが、9:45に到着した時点ではもう入場させていたので、待たずに見られましたよ。

やはり僕はダリのシュール・レアリズムは苦手ですね。ただ、この作風のバックグラウンドには、彼が演劇やバレエに造詣が深く、背景なども制作していたという事実があることがわかり、より作品の理解を深めることはできました。そんな中で一番印象に残ったのが「世界宗教会議」という作品で、左下にダリ本人が絵を描いている様子の描写があります。この作品は、ダリの登場を除いては構成がいかにも伝統的な宗教画で、さすがに神や十字架を描く上では冒険はできなかったのかと、キリスト教の存在の大きさをあらたえて実感させられます。

また、初期の作品は意外なほどに「普通」です。セザンヌ風、ピカソ風、ゴッホ風ともいえるようなものが並び、この一角だけ見たらダリ展だということを忘れてしまいそうです。独創的な画風の根本には、やはりこうした模倣的な部分があって、その上で築き上げられたのでしょうね。特に「残照の老人」という作品は、ゴッホのようなインパクトのある色遣いとデフォルメされた対象の描き方が特徴的で、気に入ってしまいました。

この展覧会は1月4日まで無休で開催されていますので、混むとは思いますが、年末年始の気分転換にはよさそうです。ショップで売られているグッズも、なかなかセンスがよかったですよ。

http://www.dali2006.jp/