【アトランタOP】錦織圭―シャン・ジュンチェン

18歳の新鋭にして、自身の元コーチのダンテ・ボッティーニが指導するシャン・ジュンチェンを相手に、錦織は心理的に優位に立っていたのかもしれない。体も動いていて、思い通りのテニスができていた錦織は、序盤から競った展開ながら後ろ向きにはならず、決めるところで決めるクラッチぶりを発揮した。サーブがよかったことも有効にさ作用して 6-4 7-6 のストレートで勝ち切った。セカンドセットはお互いにプレーのレベルが上がり、シャンに押される場面もあったが、タイブレークで2つめのミニブレークを取ったあたりで、「行けるぞ」というモードに入ったように見えた。

ただ、気になったのは、錦織がまるで西岡良仁が憑依したかのように独り言を言ったり、オーバーアクションで自分に言い聞かせるようなポーズを取ったりしていたこと。西岡のようにメンタルが乱れるほどのものではなかったのだが、ツアーを離れる前の錦織とは少し様子が変わっているようで不安も残った。何か思いの通りにならない状態があったのではないだろうか。

オンコートインタビューではかなり言葉がでてきていたが、直後のWOWOWのインタビューではペースが落ち、言葉を選ぶように間をとっていた。これはダニエル太郎にも言えることだが、英語ではペラペラと必要以上に抑揚をつけてしゃべるのに、日本語になるとゆっくり淡々と話すように変わってしまう傾向がある。言語の特徴なのかもしれないが、やはりノンネイティブの言葉を話すときは自覚できない程度のプレッシャーがあるのだろうか。それは、僕が英語を話すときにも言えることだから。

準々決勝の相手はフリッツ。H2Hは錦織の3勝0敗とはいえ、それはフリッツがランキングを挙げる以前の話。錦織自身も、結果より内容を重視するようなコメントを残していたが、せめて内容はしっかりしたものを見せてもらいたい。