【映画】トップガン マーヴェリック

1986年の映画「トップガン」の続編を36年後に作り、登場人物をオーバーラップさせるという荒業を見せてくれた作品。正直言ってストーリーは手垢のついた古臭いヒーローものの定番で、ピンチになるとラストミニッツに仲間が助けに来るというウルトラマンのような展開だ。ゆえに、見る側は当然に先を期待して予測するが、それをまったく裏切らないということで満足感が得られる作りになっている。エンターテイメントとしては、それも悪くない。

戦闘機を使ったバトルシーンはリアリティに満ちており、考証も踏まえてしっかり作り込まれている印象がある。シミュレーションゲームが発展している現代において、このようなリアリティ要素がなければ視聴者をその気にさせるのは難しいだろう。嘘くさいシミュレーターの世界は、誰もが手軽に体験できてしまうからだ。ただ、リアリティという視点で言えば、搭乗機を撃墜されてパラシュートで脱出した兵士の顔や軍服、あるいは戦闘機を整備している兵士に汚れがなく、妙に綺麗なことは気になる。「地獄の黙示録」のような壮絶な描写とは言わないが、もう少し現実味を出してもよかったのではないだろうか。

キャストとしては、写真でしか登場しないアンソニー・エドワーズや過去の映像が少しだけ映るメグ・ライアンを見たかった気もするが、設定上難しいであろうことは十分に理解できる。一方、ドラマ「FUBAR」でも活躍するモニカ・バルバロがよい味を出しているし、「シカゴ・メッド」で臨床検査医ジョーイを演じているピーター・マーク・ケンドールがチョイ役ながら彼らしい台詞があるのもうれしい。