【ローランギャロス】加藤未唯/プッツ―スチャーディ/ミドルクープ

ローランギャロスのミックスダブルス準決勝は、女子ダブルスで失格の扱いとなった加藤とスチャーディが対戦する注目のカード。ファーストセットは競り合いになったが、第11ゲームでブレークを奪った勢いで押し切った。結果的には、ここで流れを完全に引き寄せた加藤とプッツが、セカンドセットはおもしろいようにポイントを重ねる。サービスリターンにしてもポーチにしても、練習でもこうはいかないというレベルで気持ちよくプレーしていたように見受けられた。

スチャーディとミドルクープも、これではどうしようもないといった表情で淡々と、しかも楽しみながらプレーできていた。最後は加藤のポーチがきれいに決まってセカンドセットはベーグル。加藤はプッツと喜びを分かち合った後で、女子ダブルスでのパートナーでもあるスチャーディと長めのハグを交わす。加藤にとっては様々な思いが交錯しただろうし、失った賞金とポイントを思えば純粋に喜んで自分だけがミックスの決勝に行くことに申し訳なさもあったはず。それでも、ディラことスチャーディの明るい表情が、決勝に向かう加藤を温かく見送っていたように感じ、見ていて気持ちの良い時間だった。

「失格」に関して渦中のソリベストルモは、「自分を非難している人は試合を見ていない」というようなコメントをしたらしいが、少なくとも僕はWOWOWオンデマンドの配信で見ていた上で記事を書いている。小さなコートの試合も全世界に配信され、アーカイブまで残る時代に、後から自分の都合のいいように言い訳をするのは無理がある。チェアアンパイアに言った言葉も失格判断の後の笑顔も、いまさら消しようがないのだ。

加藤には前を向いて、まずはミックス決勝に集中して欲しいが、それと提訴は別物。侵害された自分たちの権利を取り戻すことをテニス界も望んでいるはずだ。