【チャールズ3世】戴冠式

エリザベス女王戴冠式以来70年ぶりとなる英国王室の戴冠式。ただ、僕にとってはちょうどドラマ「クイーン・シャーロット」でジョージ3世とシャーロット王妃の戴冠式を見た直後だったこともあって、位置づけや背景、戴冠を受けることの持つ意味などを理解することができた。チャールズ国王は、英国国教会だけでなくギリシャ正教シーク教など多数の宗教関係者からの言葉を受けて、「国に奉仕する」というミッションを明確に共有する。全世界に中継されてしまうので、その言葉の持つ意味は並大抵のものではないだろう。

戴冠式を彩る楽曲も素晴らしかった。Kyrie EleisonやAgnus Dei、Sanctusなどミサの定番はもちろん、アンドリュー・ロイド・ウェバーが新たに作曲したものまで。ウェストミンスター寺院の荘厳な雰囲気の中で演奏されると、それだけで特別な印象を持ってしまうが、ソリストの歌声も格別だった。聖歌隊の子どもの中には、歌えていない部分もあったように見えたが、そこは「良家の子女」枠のようなものだったのだろう。ゴスペルまで登場したのは意外だったが、そのあたりにもチャールズ新国王や王室の意志が籠められていたはずだ。

妻も僕も、王室行事で注目してしまうのはアン王女。凛とした佇まいと表情は、伝統ある王室を代表していると言っても過言ではない。この日は、戴冠式を終えてバッキンガム宮殿に戻る国王夫妻の馬車の後方で、自ら馬に乗って伴走する様子がいかにも馬術オリンピアンらしさを醸し出していた。72歳とは思えない身のこなしも、また彼女の背負うものを感じさせてくれた。今日のウィンザー城でのコンサートは、スカパーBBCの放送予定に入っていないようだが、どんな形でも体験してみたいものだ。