【エリザベス女王在位70周年】プラチナジュビリー

このご時世にこれだけの人数を集めてのライブ。リスクは当然にあったはずだが、それをテイクする意義は十二分にあるという判断だろう。エリザベス女王の在位70周年の祝宴がバッキンガム宮殿前で6/4に開催され、WOWOWの放送を録画して視聴した。

冒頭には女王が熊のパディントンと絡むショートムービーが流されて、ほのぼのとした雰囲気を作りだす。そして、マーチングバンドの大太鼓隊が「We Will Rock You」のリズムを刻んで、クイーン+アダム・ランパードを迎える。いきなりクライマックスが訪れたかのように、「Don't Let Me Down」から「We Are the Champions」まで一気に突き進む。アダム・ランパードはモニターの音声がうまく聞こえないようで、イヤーパッドを途中で外していたが、この後のミュージシャンも同様だったようで、トリのダイアナ・ロスまで音声はトラブルを抱えたままだった。これだけ広い会場で、これだけの観衆。伝達時間もあれば騒音もあるので、想定内ではあったはずだ。

レッドカーペット的なインタビューでは、アダムとブライアンがしゃべっていたが、水を向けられたロジャー・テイラーが堰を切ったように話し始めたのが印象的だったが、演奏でもノリノリ。そして、予想通りにギターソロの場面で華々しく登場したブライアンの演出も、楽曲にとてもよく合ったものだった。

僕にとって次のヤマは、ミュージカル特集の場面。「ハミルトン」に始まり、このコーナーのホストであるアンドリュー・ロイド・ウェバーの作品「オペラ座の怪人」。この祝宴にファントムがふさわしいかどうかは別にして、この曲なしにウェストエンドは語れない。さらにエルトン・ジョンの作品「ライオンキング」、ヘンリー8世の妻たちを扱う「シックス」ときて、最後はロイド・ウェバーの処女作ともいえる「ジョゼフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」。英国らしさをふんだんに表現するセレクトが、会場を盛り上げる。

そしてオペラ界からは、アンドレア・ボチェッリがトゥーランドットから「誰も寝てはならぬ」を。僕にとってはロンドンで観たファントムとヴェローナで観たトゥーランドットが、このステージに重なって懐かしさすら感じた。環境問題を語るウィリアム王子のスピーチも素晴らしかったが、やはり彼の表情にはダイアナ妃の面影がある。チャールズ皇太子とカミラ夫人の登壇は、やや冗長感もあったが、それも含めて英国王室ということだろう。あの会場でこの長時間はスタッフにも観衆にも辛いものがあるが、それでも祝いたくなるイベントなのだ。