【映画】ダウントン・アビー

ドラマを見終わった後はしばらくダウントンロス症状に見舞われたので、待っていた劇場版。ただ、なかなか上映館の時間帯がうまく合わずに、アマゾンプライムでの有料配信での視聴となった。まずは登場人物の顔を見られただけで懐かしさがつのり、旧友に会ったような気分にさせられる。ロバートもメアリーも変わらぬ存在感で、カーソン、ヒューズ、パットナムらの使用人も時の経過を感じさせない。そして何より、85歳となったマギー・スミス演じるバイオレットが、元気な姿を見せてくれたことがうれしかった。

ストーリーは英国王ジョージ5世一行がダウントンを訪れるというもので、晩餐会を巡って使用人たちがちょっとした反乱を画策するのだが、そこに大きなヤマを持ってくるでもなく、その後のダウントンや国王主催の舞踏会にもスポットが当てられたイベントがあった。このあたりは、いかにもドラマの作り方で、映画としてはクライマックスがボケてしまってちょっと物足りなさが残る。

終盤まで登場しなかったマシュー・グード演じるヘンリー・タルボットが帰ってくる設定はいかにも蛇足で、ヘンリーの姿を形だけでも組み込もうとするキャスティングの綾だったのだろう。伯爵夫人コーラもやや影の薄い設定だったのは、イーディスの登場場面を増やすことの代償だったように見えた。イギリスらしい堅苦しいマナーや王室一行の厚かましさ、そしてアイルランド問題の影も垣間見え、このシリーズの特徴でもある米国映画と差別化された構成がそれなりに楽しめる作品だった。