【ドラマ】SPY CITY ~ベルリン1961~

第二次世界大戦後のポツダム協定により、米英仏露4ヶ国によって分割統治されていた時代のベルリンを描くドラマ。タイトルにもあるようにスパイを扱った作品であり、ストーリーとしてもそのあたりうぃ描いているのだが、米英仏とロシアの反目によってベルリンの壁が築かれる方向に進む中で、大国の思惑に翻弄されるベルリン市民の悲哀の方が僕には印象に残った。

統治国ごとの地区に分けられ、ロシア側とは決定的に分断されるということで、同じ街に住んでいながら突然行き来ができなくなってしまう。それぞれの統治国の軍隊によって統制されるため、同じ街でも違う国にいるようなものなのだ。日本が分割統治されている状況など想像もつかないが、大戦の敗戦国という意味ではドイツと同じなので、可能性がなかったわけではないだろう。現に朝鮮半島は分断されて戦争まで起きているのだから、歴史の綾というものはわからない。

主演のドミニク・クーパーは、僕にとっては「エージェント・カーター」や「キャプテン・アメリカ」でトニー・スタークの父親であるハワード・スタークの若いころの姿を演じた俳優。デフォルメ感のある表情が特徴的だが、何となく「嘘っぽい」というかフィクションらしさを増幅させてしまう演技なので、戦後ベルリンの緊迫感を強め過ぎないという意味では有効だったが、それが制作陣の意図通りなのかどうかはよくわからない。シリアスに描きたかったのなら、ミスキャストなのではないかと思う。