【メキシコOP】トミー・ポール―テイラー・フリッツ

これぞ死闘と呼ぶべき、壮絶な試合だった。ファーストセットはポールが取り、セカンドセットはタイブレークでフリッツ。そしてファイナルセットに突入するのだが、ただでさえ気温が高いアカプルコではふたりとも消耗が激しい。ポールは足に来て、なかり辛そうな表情を浮かべていたが、一方のフリッツもゲームの途中で嘔吐してしまうという悲壮な状態だった。これにはチェアアンパイアが的確に対応していたので、見ている方としては安心できたが、陣営席のガールフレンドの表情はかなりこわばっていた。

タイブレークにもつれ込んで、その終盤には明らかにポールもフリッツも足が出なくなっていた。だからといって、思い切ってアングルをつけるだけのパワーも残っておらず、ここまでの背景を知らない人には「凡戦」という印象だけを与えてしまったことだろう。結果的には、フリッツが力尽きたという形でポールが勝利をつかんだ。センターコートの観客は、ここまで激しく死力を尽くした試合を見せつけられては、盛り上がるしかなかった。

この日は、マクラクラン勉とヨーランソンもダブルスに登場し、タイブレークからセットオールに追いついたものの、マッチタイブレークでは一方的な展開で敗れてしまった。ディサイディングポイントをことごとく落としてしまったことが悔やまれるが、レシーバーを勉にしてもヨーランソンにしてもダメだったので、相手のラモンズとウィズローが一枚上手だったということだろう。