【映画】オールド

奇才M・ナイト・シャマラン監督によるホラー映画「オールド」は、何が何だか理解はできないものの、最後まで一気に見せてくれる秀作だ。企業の謀略に絡めながら、岩壁と荒波に閉ざされたビーチで加速された時間に苛まれる家族の物語だが、理解を超越したものへの恐怖が巧みに表現されている。それこそが、中だるみせずに緊張感を醸し出し続けた要因だろう。

メインとなる家族の父親に「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」のガエル・ガルシア・ベルナル、心臓外科医に「高い城の男」でジョン・スミスを演じたルーガファス・シーウェルを配し、さらには「LOST]でも活躍し「スターウォーズ」にも出演しているケン・レオンも表情豊かな演技を見せてくれる。場面に合わせた様々な表情を演じ分けるあたりが、この作品の最大の見どころかもしれない。

最後のオチとしては、ないよりはマシというか、「ああ、こういうオチなんだね」という程度の納得感でしかなかったが、オチですっきりするよりも過程の演技を楽しむだけで十分見る価値はあるように思う。そして、ドミニカ共和国で撮影されたという、この世のものとは思えないようなビーチは「ザ・ビーチ」のピピ島を上回る絶景。アジアにもありそうな風景ではあるが、この非日常感を体験してみたい気もした。