【ドラマ】リグ ~霧に潜むモノ~

北海油田の採掘施設で起きる謎の地震と火災を巡って、海上で孤立した従業員が繰り広げる対立と脱出劇。ある意味、密室サスペンスのような展開で、列車や宇宙船、飛行機などとは異なり、北海に作られた「リグ」という設定が独特だ。パニック状態の施設内で、集団はどのように行動するのか。誰がどう煽り、誰が従うのか。そのあたりにリアリティがあって、人事官営的な視点からの見どころにもなっている。

原油の採掘によって深海で目覚めた古代植物の胞子との戦いになるのだが、胞子にも集団意志があるという理論は量子論的な発想でもある。すべての物質が「波動」である以上、意志や自我も波動であり、個体の生命の終焉で消滅するものではない。また、先日読んだ「6度目の大絶滅」に通じるロジックも登場して、環境問題を本質的に考えさせるような骨太な内容になっている。壮大なテーマだけに消化不良感もあるのだが、シーズン更新もありそうなので、これからの展開にも期待したい。舞台となるリグが「ブラボー」で「チャーリー」がすでに崩壊している設定ということを考えると、今後「アルファ」が絡んできそうな気がする。

俳優陣では、「ゲーム・オブ・スローンズ」でジョラー・モーモント役のイアン・グレンが渋い演技を見せるが、同じく「ゲーム~」でロバート・バラシオンを演じたマーク・アディと反目して対立する場面で、二人だけで会話する場面が印象的だ。