【コミック】Blue Giant Explorer (7)

ジャズを扱った作品なので、ニューオーリンズを避けるわけにはいかない。だからこそサンディエゴからアルバカーキという南回りルートを選択していたはずだ。ジャズ発祥の地とも言われるこの街で、宮本大は受け入れられるのか。そして、ようやくトリオとして活動できる状況になり、ドラマーのゾッド、ピアニストのアントニオという個性あふれるメンバーは融合できるのか。そんな興味の中での第7巻だ。

アジア系と黒人とヒスパニックという絵に描いたようなマイノリティの組み合わせなのだが、過度にそこにフォーカスを当てることなく、あくまでバックグラウンドとして描いている。ここからニューヨークに至るまでに、南部の黒人文化が強いエリアを通るとすれば、それを宮本大が咀嚼し吸収するのかが楽しみでもある。ニューオーリンズ同様に、アメリカ音楽を体感するにはメンフィスやナッシュビルにも行くと思われるからだ。

相変わらず、ページからは音楽が聞こえてくるかのよう。擬音で表現しなくても、そこに音があることがわかるし、リズムとメロディが頭の中で再生できてしまうような感覚になる。サックスを吹く息遣いやピアノのダンパーが動く感触、ハイハットを叩くスティックの微妙なズレ。そんなものが記憶から呼び起こされて、紙面を通じて脳内に再生されるのだ。こんな感覚をもたらしくくれるマンガは、そうそうない。