【コミック】Blue Giant Explorer (6)

相変わらず、行間から音が聞こえてくるかのような描写が素晴らしい「Blue Giant Explorer」。宮本大の北米大陸を巡る旅は、アルバカーキからテキサス州に入る。南部でジャズのルーツに触れるという定番の設定ではなく、まずアルバカーキではサックス教室の代講として発表会を成功させ、テキサスではポーカーに浸るドラマーとの出会いを描く。その土地の雰囲気を感じさせながらも、ステレオタイプな描写に走らないバランス感覚の産物なのだろう。

それにしても、英語が話せるわけではなかった主人公が、少ない言葉で自分を表現するようになるが、その表情が自信に満ち溢れているあたりにライフスタイルを感じさせる。もともと自分の生き方にはこだわっていた宮本大だったが、ここまで成長した様子を描き分けているのは、しっかりした構想があればこそなのだと感じる。ヨーロッパ、そして北米の文化や生活を経ての彼が、今はそこに描かれている。

実際に、このような生き方をしている人をうらやましく思う反面、北米大陸でそれを貫くリスクも非常に大きく感じる。特に今はコロナ禍でアジア人差別もあり、ヘイトの問題も大きくなっている。かつてのように、気軽に渡航すべきではないのだろうとも思う。困難な世の中だが、だからこそエンターテイメントの必要性があるのであり、このい作品にも大いに期待しているところなのだ。