今のドイツは決して強くない。ネームバリューに押される必要はないと思っていた。どちらかというと「勝ち切れない、もどかしいチーム」のドイツに勝てるワールドカップなど、そうそう巡ってこない。そういう意味では、千載一遇のチャンスだった。
その試合で森保監督は、オーストラリアと同じ戦術を選択した。前半は相手を疲れさせて時間を使い、後半に勝負できる選手を投入する。その狙いは当たった。まるでJ2時代の松本で見た試合のように、前田大然が前線でボールを追う。明らかなオフサイドでゴールネットを揺らす場面もあったが、あくまで前田はプレス要員。あのプレーをオフサイドと感じずに、「先制!」と叫んでしまう実況アナウンサーが情けない。
失点の場面は守備の隙を突かれ、GK権田はあわててしまったもの。落ち着いて対処すれば何とかなったと思われるが、権田だけが責められるプレーではないだろう。前半終了間際にドイツがネットを揺らしたが、これも明らかにオフサイド。アシスタントレフェリーのレベルが明らかになり、こちらも要注意だという印象を持った。
そして迎えた後半勝負。三苫が崩して浅野がつぶれ、堂安が冷静に蹴り込むという美しい展開。こちらはJ3のガンバ大阪U23時代に大分戦で見たような流れで、あのときに感じた堂安の決定力に今度は安心させられた。浅野のゴールは、いかにも浅野らしい突破からGKノイアーのニアサイドを、ここしかないという角度で抜いたもの。自分でも信じられないという表情で自陣に戻り、控えめにジャガーポーズを決める浅野が誇らしかった。素晴らしい内容で日本の実力を世界に見せつけることができて、関係者は皆うれしいだろう。おめでとう、サムライブルー!