【ドラマ】不感地帯

ベルギー製作の「Into the Night」で副操縦士を演じたロラン・カペリュートが出演していることで興味を持った作品で、フランスの森の中の街が舞台となる。話の構成は非常に複雑で、ちょっと気を許すと流れを逃してしまい、睡魔に襲われることも再三。面白くないわけではないものの、最後まで見ることがある種の苦行のようなところも多分にあった。

その要因は、謎が一気に語られず、主人公ロレーヌの過去につながるような雰囲気を漂わせつつ一気には展開しないこと。伏線をつかまされても、その回収までの間にロラン演じるシリアニ検事のコミカルなパートに興味が持っていかれてしまうので、話の本筋がつかみにくいのだ。それは、裏を返せばロランの存在感が圧倒的だということ。さほそ多いなく登場人物の中で、唯一に近いコメディ要素の持ち主の彼の印象だけが残ってしまうということなのだと感じた。

ヴィルフランシュという架空の街に広がる森で展開される不思議で、かつ恐ろしさを感じるようなエピソードでは、美しさの中にもリアルな醜悪さを見せつけられる映像にはリアリティがある。日本でも、天狗を「森の民」として我々とは異なる民族あるいは生物とする説もあるが、やはり森の中は別の世界なのだ。野生生物の生命力も含め、我々の論理では語れない世界がそこにはある。