【ドラマ】サンドマン シーズン1

ダークヒーローが活躍する物語かと思っていたが、宗教観をベースに過去との因果関係を辿る内容で、想像以上に硬派なテーマを扱っている。そんな中で、主人公のドリームは派手なアクションがあるわけでもなく、ルシファーとの戦いは「強いものの単語を挙げて、そのイメージで勝敗を決める」というカードゲームのような体裁で進められる。まるまる1話が、ダイナーでジョンが客の本音を引き出す内容で占められる回もあり、エピソードごとに異なる展開が用意されている。

登場人物で印象に残るのは、ゲーム・オブ・スローンズでブライエニーを演じたグウェンドリン・クリスティーが務めるルシファー。191cmの長身と体格を除けば、その柔和な表情から地獄の王という雰囲気はないが、狂暴さを窺わせるマジキーンとのコンビはインパクトがある。ドラマ「ルシファー」の主役トム・エリスが演じることも検討されたようだが、それでは色が強すぎたことだろう。そして、ドリームの片腕的な位置づけの烏のマシューは、声をパットン・オズワルドが演じている。吹替で見てしまうとオズワルドの仕事に触れることはないのだが、エージェント・オブ・シールドで4つ子を演じた彼の表情や動きを想像しながら烏を見ることで、オズワルドがそこにいるかのような気になるから不思議だ。

ちなみに、本作で悪役として登場するコリント人(びと)は英語の綴りではCorinthian(s)となる事実を知って、それがブラジルの強豪サッカークラブのコリンチャンスと同じ単語だと気づいた。作品中でも、なぜそう名乗っているかは明確に語られなかったが、深い意味がありそうなので興味を持っている。いずれにしても、ここからの展開にも期待できそうだ。シーズンの更新は未発表だが、ディザイアの思わせぶりな登場が気になっている。