【映画】エターナルズ

評価も難しいし、好き嫌いも分かれそうな何とも言い難い作品だった。まず何よりも、誰がヒーローで誰がヴィランなのかよくわからない。それは本作が打ち出す多様性の一部であるとも言えるが、映画を楽しみ上で方向性が示されないのは非常に居心地が悪い。僕はRPGをプレイする際も、自由度の高いシナリオはあまり好きではないし、サブクエストには興味を持てない。本作では、誰のどのような視点に共感するかを視聴者に委ねている感があるのだが、これだけの情報でそれを決定できるほど価値観というものは単純ではないのだ。

キャスティング面では、「ゲーム・オブ・スローンズ」でロブ・スタークを演じたリチャード・マッデンが、同じくジョン・スノウを演じたキット・ハリントンの共演は、それだけでも興味をそそられる。「シリコンバレー」のディネシュ役だったクネイル・ナンジアニが、うって変わってイケメンキャラになっているのは驚きだし、アンジェリーナ・ジョリーのクセの強い役どころにも意外性がある。見どころが十分なだけに、かえって視点の置き方に迷ってしまうのは難点と言ってよいだろう。

ミッドクレジットとエンドクレジットを見る限り、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のシリーズにつながりそうな雰囲気だが、もともと登場人物が多彩なところに本作の多様なメンバーが追加されると複雑になりすぎてしまわないだろうか。MCUの世界観が十分に感じるし、今後の展開にも期待したいところではあるが、最近のマーベルの方向性が急激な拡大を志向しているように見えるところに懸念を持たざるを得ない。やりすぎてしまうと、元に戻すのは難しいから。