【大分―大宮】機能しない右サイド

岩手戦の後に下田が語っていたことは何だったのか。リードした後に余裕を見せてしまい、結果的に激しい追い上げにあってしまった経験は生かされなかった。エドゥアルド・ネットのゴールでリードしながら、その後は試合終盤に逃げ切りを図るタイミングでもないのに、時間を使ってキープを優先してしまった。弓場のコメントでは、もっと落ち着かせてもよかったとネットと話していたそうだが、なぜそうなってしまうのか。

その意味で、ハーフタイムの交代は理解できる。中川と長沢を下げて渡邉と呉屋を投入したのは、下平監督の「攻めろ」というメッセージだったはずだし、そのような指示も出ていたはずだ。しかし、その渡邉を下げて梅崎を投入することになるのだが、これは伊東と渡邉のコンビネーションが機能しないからだ。伊東は無理しないとも言えるが、前に突破してゆくタイプでないとも言える。つまり、サイドを空ける工夫が必要なのだが、渡邉は近寄ってボールをもらう際に、前を向かない。向くことを意識したアプローチではないからで、野村がいれば違っていたことだろう。これでは中川の方がマシだったし、梅崎を投入したくなるのも当然だ。ここまで機能しないのであれば、伊東の起用も考え直す時期かもしれない。

そもそも、攻撃をサイドに絞り過ぎている印象もある。もっと中から攻めて、2トップの連携でゴールに迫るオプションもあった方がよい。サイドから仕掛けるなら、マイナスのクロスに誰かがつぶれた後ろでシュートを叩き込む形が欲しい。サイドを破るのが精一杯で、その後の形ができていないことが何とも残念だ。