【Disney+】ムーンナイト

ついに、というか、もう、というか、ムーンナイト全6話が完結してしまった。主人公のはずの「ムーンナイト」が活躍する場面はほとんどなく、マークとスティーブの人格交代の演じ分けが見せ場になっていたように思う。多くの視聴者もおそらくそうだろうが、原作を読んでいない僕にとっては、作品の深みや行方が想像しにくい内容になっていたのではないだろうか。

ムーンナイトとは何かがようやくわかってきたところだったが、本作はリミテッドシリーズとしてシーズン更新がないことが発表されている。他のマーベル作品に絡む可能性は限りなく低そうだし、映画化するにはハードルが高そう。ポストクレジットも原作へのオマージュだったようなので、これで終わってしまうのかもしれない。他のマーベル作品が「MCU」として連携することをウリとしている中で、本作をあえてこのタイミングで投入してきた意図は、果たして何だったのだろうか。

それにしても、オスカー・アイザックの演技は素晴らしかった。表情や言い回しだけではない、個性を巧みに演じ分ける技術は傑出していた。エジプトという土地と文化にこだわった制作と合わせ、表面的な部分だけを見るだけでも十分に楽しめる作品ではある。ただ、頭の中に疑問符がたくさん残ったままの完結だったので、そこは煮え切らない印象になってしまった。