【東京V―大分】戦術負け

前半のチャンスで呉屋でも長沢でもゴールを決めていれば、まったく違う展開になっただろう。雨が降りしきる中でのゲームは、それくらいどちらに転んでもおかしくないものだった。大分にとって失点のシーンは、下田がもう一歩寄せていれば、高木が足ではなく手で止めにいっていればという思いももちろんあるのだが、まあ仕方のないところだろう。

大分のチャンスは、ロングボールから生み出されていた。それは裏を返せば、ビルドアップができていなかったということであり、下田が前を向けなかったことが最大の敗因だと言えよう。マークされていたという意味では戦術負けなのだが、これまでなら反転して前にボールを出す場面が見られていた下田がそうしなかったのは、雨によるグラウンド状況なのか、あるいは連戦の疲れということも考えられる。その点を梃入れするのであれば、中川を入れる時間は遅すぎたし、エドゥアルド・ネットでもよかった。昨年の悪いパターンに陥っている大分の姿が、そこにあったからだ。

今のように4-4-2で行くのであれば、渡邉の使い方は考えた方がよいだろう。決定力もあり、中盤を作ることもできる良い選手なのだが、今のシステムにおいてはビルドアップに絡めていないし、サイドに張って突破する形も作れていない。要は、中途半端なのだ。右サイドに張れる選手たち、つまりは井上や増山がいればよいのだが、発表こそないものの恐らくは負傷で使えないのだろう。松本を中盤で使うことも考えて欲しいし、エドゥアルド・ネットを活かして4-3-3に戻す選択肢もある。ミッドウィークに試合がない来週は、いったん立ち止まって戦術を見直すタイミングだ。