【ドラマ】弁護士ビリー・マクブライド

日本語のタイトルに妙な副題をつけなかったことには好感が持てるのだが、原題「Goliate」の持つ「巨悪」のイメージがまったく失われてしまったのは残念だ。シーズンごとに異なる巨悪にビリーが挑むのだが、その巨悪度合にはバラつきがあった。シーズン1は兵器産業、シーズン2は政治家、シーズン3が水資源を握る地方自治体、そしてファイナルとなるシーズン4が薬物依存症を巡る問題だ。比較してみると、シーズン3はどうしても展開が限られてしまった。前のシーズンの中心人物を引っ張り出すなど工夫はあったが、オールスター学芸会的な印象も拭えない。

また、シーズン2の歯切れの悪さも目についた。政治家が相手だけに決着をつけることが難しいのはわかるし、あっさり勧善懲悪で終わらせては現実味がなくなってしまうのはその通り。それでも、エンタメとして楽しむ視聴者に、わかりきった現実を押し付ける必要はないし、見る側も求めてはいないはず。そのことは、IMDBでの評価がシーズン2最終話だけ段違いに低いことを見れば明らかだろう。

それにしても、この作品は声優も含めバイプレイヤーが見事。主人公ビリーの相棒であるパティ・ソリス・パパジアンを演じるニーナ・アリアンダの個性を、吹替のちふゆが絶妙に引き出している。ちふゆは「アイアンフィスト」のコリーンも担当しているが、その演じ分けは本当に見事なのだ。そして、悪の弁護士ドナルド・クーパーマンは名優ウィリアム・ハートが怪演。ふくまつ進紗が声を担当するが、いかにも「HAWAII FIVE-0」のルー・グローヴァー。この独特の存在感は、彼以外では大塚芳忠くらいだが、飯塚だと芝居感が満載になってしまうので、この番組としてはやり過ぎだろう。他にもブリタニーやマーヴァといった人物も魅力的で、話の展開に華を添えている。