【清水―大分】点を取る気を見せた28分

自分たちが後ろで時間をかけてボールを回した結果、相手の守備はセットされる。大分のサッカーは、ここでいつも書いているように「前半スコアレス」狙い。今の得点力不足の状況は、90分のうち45分をその気がないまま過ごしている結果ではないか。坂と三竿を欠いていたとはいえ、ビルドアップの際はボランチの1枚がDFラインのセンターに下り、もう1枚も低い位置。町田と小林成豪のどちらかはサイドにいて、残った一人はビルドアップのボールを受けに下りてくる。この状況で長沢にボールを当てて、誰がそれをサポートするのだろうか。

伊佐を投入して4バックに変更してからは、前線が活性化した。単にギアを入れ替えたということではなく、2トップになったことで伊佐と長沢の関係で相手を崩せるようになったのだ。あのプレーをロスタイムを含めての28分ではなく、90分間見せてもれないだろうか。柏から呉屋を獲得したが、これが2トップへの変更を意味せず、交代起用や呉屋のシャドーを考えているようなら、大分が浮上することはないだろう。J3時代に三平と伊佐でやっていたような関係性が長沢と呉屋(あるいはどちらかに代わって伊佐)の間で再現できるなら、可能性はある。

香川も井上も、行けるタイミングで前を狙わないのは、監督の指示なのだろう。無理をしてはいけないというメッセージが出ていたとしても、もう少しチャレンジする、つまりリスクを取らなければチャンスなど生まれるはずがない。ビジネスも同じだが、リスクを取ることでオポチュニティが生まれる。リスクを冒さないチームにはゴールなど生まれないのだ。