【長崎―大分】悪夢の現実

何が残念かって、試合終了後に笑顔で長崎の選手や審判団と握手して普通に話している大分の選手たち。この負け方で悔しさを感じないのか、感じても押し殺しているのかわからないが、それを表現してこそ「次」があるのではないだろうか。率直に言って、今日のゲームは主審の上村篤史に壊されたと思っている。ペレイラのプレーでハンドを取られてしまったのでは、エリア内で守備なんてできない。そのくらいのプレーだ。遅延行為で二見にイエローを提示したのは「お返し」のようにも見えたが、それ以外にも長崎のブラジル人選手のマリーシアに騙され続けていたように思う。

ただ、大分の問題はそこではない。3-4-2-1を信奉する片野坂監督のサッカーでうまく行かなかったメンバーを大きく変えることもなく、下平監督の4-3-3に無理やり当てはめようとしていることがすべての根源だ。センターバック不在の状況で補強もせず、坂を起用して失敗している。3-4-2-1の場合、サイドを突くのはアウトサイドの選手であることが明確だが、今季の4-3-3でサイドバックに小出や野嶽、三竿といったサイドを突ける選手を起用しながら、サイドを使うのは井上や増山、小林成豪といったFWの選手。3トップの1枚がサイドに流れ、MFの町田や渡邉が前に行くから中盤がスカスカになる。そこを下田が担っても、後ろにはアンカーがいない。地震とコロナ感染で立ち上がりが遅れたのは事実だが、それにしてもまったく熟成しないままに前掛かりになっているだけなのだから、失点が続くのは当たり前だろう。

今のままでは、J1復帰などあり得る話ではなく、2度目のJ3降格を心配した方がよさそうだ。選手の見極めもできない中で、自分のやりたい4バックに飛びついたのだとしたら、下平隆宏には監督の資格などない。岡山劇場などもまったく求めていないので、もっと現実的な打ち手を講じていただきたい。フロントは監督の見極めが苦手なだけに、最悪の事態は十分にあり得るだろう。悪夢が現実になる始まりでないことを、望むばかりだ。