【大分―浦和】ポゼッションを捨てて

前半のボール支配率が30%と、いつもの大分らしからぬ展開。しかし、それはいつものように時間を掛けすぎて手詰まりになるサッカーへの決別でもあった。そんな中で生まれた町田のゴールは、逆サイドで小林成豪が仕掛け、長沢を越えたクロスをヘッドで叩き込んだもの。これができるのであれば、1トップ2シャドーも悪くない。僕が2トップを推しているのは、長沢の孤立を防ぎたいからでしかにからだ。

やはり大分は、相手が対策を取ってハイプレスを仕掛けてくると弱い。形が作れない上に手詰まりになってしまうのだ。だから、相手が逆に上位の方がカウンターが冴える。ただ、さすがに川崎のような圧倒的な攻撃力を前にしてしまうと、何もできなくなってしまうのだが… 今日のようなオプションをしっかり共有し、ピッチの上で判断できるようになれば、チーム力は間違いなく向上するだろう。

そして、守備ではやはりエンリケトレヴィザンだ。危ないところに足を出し、出るべきところで前に詰める。このセンスが大分には欠けていたのであり、去年まで鈴木義宜が担っていた部分なのだ。守備固めでペレイラという選択肢もあったと思うが、結果的に投入された羽田が絶妙なボール奪取を見せていたので、正しい判断だったのだろう。逃げ切るためのクロージングができたことも、今後に向けて大きな意味を持つはずだ。