【ドラマ】クイーンズ・ギャンビット

Netflix配信の本作は、孤児の少女がチェスで頭角を表し、逆境を跳ね返して世界大会で活躍するという王道な感じのストーリー。ただ、チェスという僕にとってはよくわからない世界を描いているので、なじめるかどうか疑問だった。しかし、見始めてみると、一気に興味を惹きつけられる。何よりも主人公のベスを演じるアニャ・テイラー・ジョイの演技が素晴らしい。自分の世界を持ち、ぶれない意志の強さで自我を貫くことができる実にかっこいい女性なのだ。

不器用で損をしたとしても、自分の主義は曲げない。だから人付き合いも苦手だが、周りからは気にしてもらえて仲間も自然とできてしまう。そんな人物は割と普通にいそうで、なかなかいないものだ。個人的には、ベスのような生き方が好きだし憧れる面もあるので、彼女の生き様の美しさが妙に印象に残った。

脇を固める俳優陣も、意外に充実している。「ラブ・アクチュアリー」や「ゲーム・オブ・スローンズ」のトーマス・ブロディ・サングスターや「ハリーポッター」でダドリーを演じているハリー・メリングらが、味のある演技で見せ場を作る。1960年代の米国の様子もうまく描きながら、決して古臭くない作りで最後まで飽きさせない。年末年始に一気に見るには、最適のドラマだろう。