【ドラマ】宇宙戦争

BBCが12億円を投じた大作という触れ込みだったが、セットは安っぽい上に合成感丸出しで、しかも吹替がイマイチと全般的には消化不良な内容だった。ただ、H.G.ウェルズの原作が骨太なだけに、バックグラウンドに脈打っている主張は伝わってくる。火星人に一方的に攻撃されるイングランドの姿は、自らが同じことを植民地にしてきたことのしっぺ返しなのではないか。そんな主人公の一言が、妙に心に残った。

BBCの原作は全3話のようで、WOWOWがそれを4話に再構成したのは1話が中途半端に長くて、60分枠では十分なCMを入れられなかったからだろう。もともと細切れなつくりなので違和感はあまりなかったが、話のテーマとなる部分が少しづつズレていることには引っかかるところがあった。

そして、やはり欧米の作品には、根底にキリスト教的な価値観が流れていることをあらためて思い知らされた。進化論と信仰の不調和や、ノアの箱舟などの旧約聖書のエピソードについて自分が十分な理解ができているという自信はないだけに、表面的にしかあ作品を味わっていない気がしてならない。この作品の映画化やドラマ化ではどうしても映像のインパクトに焦点が当たりがちだが、本来はもっと根源的な部分をしっかり考えさせる作品なのだろう。