【ヒッチコック映画】北北西に進路を取れ

アルフレッド・ヒッチコック監督の作品は、以前はよく年末年始の深夜に地上波で放送していて、主なものは一通り観ています。その中で「めまい」と並んで印象に残っている「北北西に進路を取れ」がNHKのBS2で放送されました。この作品のタイトルは、監督自身「あまり深い意味はない」と語っているようですが、原題は「North by Northwest」で、途中にシカゴからノースウェスト航空の飛行機に乗るシーンに思わず微笑んでしまいました。

内容はヒッチコックお得意の「巻き込まれ型」というもので、無関係の市民がある日突然組織犯罪に巻き込まれて追われる展開です。「キャプラン」という実在しない男と間違われた主人公ロジャーが、酔わされて海に落とされそうになったり、何もない畑で小型飛行機に銃撃されたりと、とんでもない状況に置かれてしまいます。スピード感のある展開に見る側は思わず引き込まれ、2時間を超える大作ながら飽きずに最後まで興味を惹かれることでしょう。

確かに素晴らしい作品で世間の評価も高いのですが、僕にはどうも嘘臭さが目に付いてしまうのです。ロジャーが誘拐されてある邸宅で脅される場面でも、ロジャーは余裕綽々で死の危険が迫っている緊迫感はまったくありません。また、組織に追われて乗り込んだシカゴ行きの列車の中で、謎の美女イブを口説いてみたり。この危機を恐れない態度は、まるで若大将シリーズ加山雄三のようでもあり、つまりは当時の映画の王道なのでしょうね。リアリティよりも、ヒーローらしさを求めたということなのだと思いました。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id21445/