【ドラマ】Game of Thrones

ゲーム・オブ・スローンズ」の全8シーズンを1ヶ月ほどの期間に集中して見終えたが、独特の世界観にどっぷりと浸ることができた。外出自粛をポジティブに考えるネタにもなって、まさに一石二鳥だった。これだけ登場人物が多く、設定もきめ細やかになされていると、「わからない」ことが不快ではなくなってくる。

この物語は人間の根源にある「支配欲」による椅子取りゲームなのだが、玉座に着くためには人を殺し、騙し、懐柔する。そしてその座を掴んだとしても、今度は自分が狙われるターゲットになる。果たしてゴールは何で、幸福とは何なのか。物語が示すそれは、自分の身の丈と特性に合った日常ということなのではないだろうか。

性善説とか性悪説という軸を持ち出すどころではなく、相手を出し抜いてでも先に上に出ないと自分や家族の生命に危険が及ぶ。そこで良い人ぶっても意味がないし、征服の建前として「解放」を唱えたとしても、自分がやっていることは形を変えた支配だったりする。それは、太平洋戦争の論理にも通じるのかもしれない。つい数十年前までこのような弱肉強食が当たり前だったのなら、今の社会は何と価値のあることか。民主主義とかダイバーシティという概念は、生命の安全が確保されてこそのステップだということを、あらためて実感させられたドラマだった。