【ドラマ】カーニバル・ロウ

ファンタジー系のドラマとしては「ゲーム・オブ・スローンズ」や「指輪物語」、「ウィロー」の路線で「ゲーム~」の世界観を踏襲している部分もあるように感じたが、ダイバーシティ観点だけが妙に強すぎた「ウィロー」や全体の一部であることが分かりにくさを招いてしまった「指輪~」より数段バランスの良い内容に仕上がっていた。フェイやパック、コボルドといったマイノリティの特殊性に過度なフォーカスを当てずに、民族の違いくらいの扱いにしたのは正解だろう。

舞台となるバーグ王国は、その名称はオランダのハーグを思わせ、ロケ地であるプラハの風情をふんだんに盛り込んではいるのだが、おそらく世界観的にはイングランドの設定。対するパクト王国は、ヴェネツィアドブロブニクのような海洋都市の様相を呈しながらも、緑の装束やダンスなどからアイルランドをイメージしていることは間違いないだろう。パクトという国名も、聖パトリックにちなんでいるように思える。

シーズン1と2の間で3年半が経過しており、ドラマの中では経過していない時間だけ年をとってしまった役者陣の変わり様は大きかった。主演のオーランド・ブルームは貫禄が増し、カーラ・デルヴィーニュはメイクが濃くなって、ボーイッシュな雰囲気から「女性らしさ」を打ち出す設定に変化している。個人的には、途中で手違いからミルワージーと別れてしまった劇団所属のコボルドたちが気になっていたのだが、その行く末も語られたことに安心した。全体的な印象として、序盤はどうなることかと思ったが、見終わってみれば非常にバランスよく作られたドラマ作品だった。