【ドラマ】ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪

指輪物語」自体をあまりよく理解せずに見たので、特に序盤は何が何だかわからないまま進行した。人間とエルフ、ハーフットなどの関係がエピソードが進むにつれてわかってくると、その世界観にようやく追いつけたような気がした。いろいろな種族が共存しているというダイバーシティインクルージョンの観点ではスターウォーズに通じるものがあるが、そう考えると本来地球も人間だけの天下ではない。かつては野獣や外敵の脅威から逃れるために都市を築いてきたが、現代ではそんな脅威が薄れてしまっているということなのだろう。

本作の中では、とにかくガラドリエルの存在感が圧倒的。演じるモーフィッド・クラークの凛とした表情が全編を通して印象に残るが、彼女の他の写真を見る限りガラドリエルのイメージとは違うものも多いので、かなり役作りは徹底されていたのではないだろうか。牧歌的なキャラクターが多い中で、ガラドリエルの高貴さを巧みに表現することで、リーダーシップやコミットメントが明確になっていたように思う。

最終話冒頭の「これまでのあらすじ」で「よそびと」とされてきた謎の老人とサウロンとの類似点を匂わせるような切り取りかた1をしていたのは、編集の巧妙さだった。他の回でも時系列を無視した編集は多かったが、その手法によって新たな視点が加えられるのであれば歓迎すべきだろう。

オープニングの部分は「ゲーム・オブ・スローンズ」の模倣とは言わないが、かなりあのオープニングを意識して作られていると感じた。「ゲーム~」との比較で言えば、そちらの方がキャラクターの位置づけが整理されていて、感情移入もしやすいので、世界観にハマりやすい。裏を返せば本作は、のめりこむにはちょっとハードルが高い気がしている。