【東京都美術館】バベルの塔展

東京都美術館のボイマンス美術館所蔵 ブリューゲルバベルの塔」展では、見どころはブリューゲルの「バベルの塔」1枚と言ってよい内容なだけに、どう見せてくれるかに興味がありました。1,600円出して1枚の絵画では、がっかりするリスクがかなり高いですからね。

結果として「バベルの塔」も想像以上に素晴らしかったのですが、構成もなかなか見応えがあって満足できました。最終的に1枚の作品につなげるコンテキストとして、宗教画に端を発するテーマの流れ、版画的なアプローチ、ディテールへのこだわりなどがチャプターごとに説明されます。そしてブリューゲルに影響を与えた画家・ボスのこだわったアイテムを、画面をステージかジオラマのように捉えて自由に配置する技法を見せた後に「バベル〜」が登場するのです。

「バベル~」は意外なほどに小さな作品でしたが、細部には徹底的にこだわり抜かれており、これを描くために要した労力とアイデアには気が遠くなりそうです。そんな作品に詰め込まれた要素を因数分解し、これ以上にはなさそうなキュレーションで解きほぐしたところに、キュレーターの苦労の跡が窺われました。逆に言うと、この見せ方しかなかったとも言えますが、そのあたりはぜひ生で見て判断してほしいと思います。