【大分―町田】緩めなかった勢い

町田には絶対に負けたくない。それは、J2-J3入れ替え戦で敗れた鮮明な記憶があるからだ。サムエルのリーグ戦初ゴールで先制して、いつものようにギアを落としてしまうことが心配だったが、今日の大分は勢いを緩めずに攻め続けた。ボランチの羽田のところからも、何度も縦に鋭いパスが出され、無難に回す場面はほとんど見られない。野村と渡邉の強い気持ちが全員に乗り移ったかのような展開で、心地よいサッカーだった。

ただ、百点満点とはいかない。修正を施した相手に対して完全に後手に回ってしまい、後半は攻め手を作れなかった。松本の投入でかなり落ち着きを取り戻したのだが、それにしても遅すぎる。藤本を下げることが「守備モードへの転換」と選手に伝わって欲しくなかったのだろうとは思うが、松本は攻撃でも十分に使えるのだから、そんな懸念は必要なかった。そして、もうひとつは右サイドの崩しが不完全燃焼だったこと。井上が持ったときにインサイドの渡邉に出すオプションはあってもよいが、全部それでは物足りない。やはりサイドを突破してクロスを上げて欲しいのだ。

次の新潟戦で、長いシーズンも折り返し。そしてその新潟は現時点で首位に立っている。小島がゴールを守り、星と伊藤涼太郎も出てくる可能性が高い。戦力的には十分戦えるし、勝って前半戦を終えるには格好の相手だろう。

【ローランギャロス】車いす男女シングルス決勝

ローランギャロス車いすテニス、シングルスの決勝は男女とも見応えのある素晴らしい試合だった。女子は上地結衣が、なかなか越えられない壁になっているデ・フロートに挑んだ。東京オリンピックではサービスゲームを有利に進められずに苦しんだ上地だが、その点はかなり改善されていたように見えた。ダブルフォルトも多いデ・フロートは、しかし要所を締めて流れを渡さない。ていねいに、ていねいに戦術を組み立ててプレーしていた両者だが、決め手はサーブとリターンのスピードだったのではないだろうか。正確なショットをコースに打ち分けられては、対処は難しい。

女子の決勝が終わってすぐに男子のコートにWOWOWオンデマンドの配信を切り替えたが、この時点では国枝慎吾が順当に勝ちそうな展開。ところが、ここから一気にフェルナンデスが流れをつかむ。いつもならイージーミスの多いフェルナンデスだが、とにかくエラーが少ない。思い切り叩いているようでも、しっかりコースに決まっていて、つけ入る隙はなくなりつつあった。

国枝がセットオールに追いつかれて、ファイナルセットもフェルナンデスがブレークを先行し、すぐに国枝がブレークバックする展開。4-4からようやくキープして一気に行くかと思いきや追いつかれ、結局6-5からの第12ゲームをブレークして国枝が優勝を決めた。勝負どころでの厳しいコースを狙ったショットが決まるのは、さすがとしか言いようがない。チェアアンパイアのコールには不満だったようで、優勝を決めて握手する際に、目を合わせていなかったのはせめてもの抵抗だろう。

国枝はこの後、フェルナンデスと組んでのダブルス決勝が待っている。表彰式でも「また見に来てください。午後5時です」とアピールしていた。上地は、今まさにダブルス決勝をデ・フロート組を相手に戦っている。ファン・クートはミスも多いので、チャンスは十分あるはずだ。

【ローランギャロス】クールホフ/柴原瑛菜―エイケリ/フリーゲン

ローランギャロスのミックスダブルス決勝は、クールホフ/柴原瑛菜組とエイケリ/フリーゲン組の対戦。ファーストセットの序盤に流れをつかんだクールホフ/柴原だったが、クールホフが足を痛めたらしくリズムを乱してしまう。流れがあっけないくらいにエイケリ/フリーゲンに渡り、ブレークバックを許してタイブレークに。しかし、ミニブレークを先行されながらもエイケリのサービスでうまく取返し、クールホフ/柴原が先取する。

セット間にトレーナーを読んだクールホフは、これで持ち直した印象があり、セカンドセットは流れを取り戻して一気に2ブレークアップとする。柴原がサービスウィナーを連発し、ポーチも決まって大活躍だ。途中にスタンドで子供が泣き出す場面があったが、サーバーのクールホフは苦笑でやり過ごし、ナイスガイぶりを発揮していた。セット終盤には優勝への意識からかプレーに堅さが出てしまっていたが、柴原が存在感を発揮。最後は少し抑え目のスピードでコントロールされたセンターサーブを叩き込み、決まると両手を大きく上げた柴原の笑顔が印象的だった。

それにしても、柴原の成長は素晴らしい。反応が良いだけではなく、見事に反応した上にそのリターンを絶妙のコースに落としてしまうなど、ダブルスプレイヤーの神髄を見せつけてくれた。青山修子やマクラクラン勉とのオリンピックシフトを終えて、新たなステージに躍り出た柴原のこれからが非常に楽しみだ。次は女子ダブルス、そしてシングルスでも、もう少し違う柴原の良さを引き出して欲しいものだ。優勝おめでとう柴原瑛菜、そしてヴェズレイ・クールホフ!

【ローランギャロス】小田凱人―ゴードン・リード

ローランギャロス車いすテニスに、衝撃の新星が登場した。16歳になったばかりの小田凱人が、東京パラリンピックの銅メダリストのゴードン・リードに完勝してしまったのだ。序盤から伸びのあるストロークと正確なプレースメントでリードを圧倒する小田は、1ゲームを失っただけでファーストセットを勝ち取る。セカンドセットは終盤に訪れた小田のマッチポイントを凌がれると嫌な展開になってしまったが、ここでも思い切りのよいプレーで勝利を手繰り寄せた。

小田のサーブは非常に強い上に、ネットすれすれを越えてゆくコース。ファーストサービスの処理に、リードはかなり苦労していたようだ。ただ、セカンドになるとリードも読みを活かしてしっかり対応してきたので、そう簡単に勝てたわけではなかったのだが、流れという意味では相手に渡さずにクローズしていたように思う。

リードは若い選手相手に、最初からやりづらそうな表情を浮かべていた。小田がポイントを重ねるにつれて、スタンドの観客も増えていったように見えた。もしかしたらそれはこの後に登場する国枝慎吾が目当てだったのかもしれないが、それにしても小田のプレーはテニスファンにインパクトを与えたことだろう。そして次戦は小田と国枝が当たる準決勝。こちらも楽しみだ。

【料理】ヴィーガンバーガー


ひよこ豆を使って、ヴィーガンバーガーを作ってみました。パテはひよこ豆と玉ねぎ、じゃがいも、マカデミアナッツですが、ほぼファラフェルと同じ味になってしまったので、もうひとひねりすればよかったと後悔しています…

ちなみにバンズも、ホームベーカリーで作った自家製パン。焼き立てパンは、食感も上がります。フライドポテトも、皮つきの新じゃがに片栗粉をまぶして揚げたものです。

【ローランギャロス】トムリャノビッチ/土居美咲―ムラデノビッチ/ガルシア

僕はフランス贔屓だし特にガルシアを応援しているので、普段ならムラデノビッチとガルシア側に立つところだが、単複含めて日本人選手が残り少ない状況では土居に頑張って欲しかった試合。ダブルスの実力としては圧倒的な差があるように思っていたが、トムリャノビッチと土居が想定以上に食い下がる。

出来としては、お互いそれほどよくなかった。土居のミスは、多くがフォーストエラーだったが、トムリャノビッチはアンフォーストエラーだらけ。ムラデノビッチの正面にボールを返してしまっては、ポイントを奪われて当然だ。一方のムラデノビッチは盤石だったが、ガルシアはミスが多かった。要所でムラデノビッチが前衛で巧さを見せつけ、絶妙のプレースメントでドロップショットやスライスを決めたのが、試合を決めるポイントだった。

柴原瑛菜とムハンマドも接戦を落として姿を消してしまい、これで日本勢で残っているのはミックスダブルスの柴原のみ。クールホフと組んでクォーターファイナルに進出しているが、相手はエブデンとストーサーという難敵だ。容易ならざる相手ではあるが、日本のテニスファンの期待をつないでもらいたい。

【群馬―大分】意識の改善

今日の勝因を一言で表現すれば、先制した後に安心しなかったことだろう。今季の大分が何度も見せてきた「無駄な余裕」から脱却して、不格好ながら2点目を取りに行ったことがすべてだったように思う。しかし、形にならない。相手の2トップの間にポジションを取る羽田がまったく前を向こうとせず、最終ラインに落ちてもペレイラと三竿に回すか、弓場と意味のないパス交換をするだけ。高木との意識がずれて、いきなりピンチを迎えた場面もあり、攻撃を活性化できなかった。ハーフタイムの時点でパス本数が両チーム合わせてトップだったが、それだけ羽田が無駄なパスをこねくり回していたということだ。

井上の交代は予定外だったはずだが、下田と野村はできれば使いたくなかったのだろう。特に羽田がひどい出来だったのだから、下田を使わずに追いつかれて、あるいは逆転されていたら采配ミスも甚だしかったところ。結果的に野村を時間稼ぎに投入することになって奏功したが、好采配かどうかは紙一重だということを表している。渡邉はイエローカードをもらっていたし、時間を稼ぐより仕掛けたいタイプなので、妥当な交代だった。

それにしても、使える選手層の薄さはまったく解消していない。ミッドウィークの天皇杯はサブメンバー主体だろうが、それにしても数が足りていないはず。アマチュア相手では、フィジカルコンタクトが過剰になる恐れもあるので、リハビリ途上の選手を起用するのは避けたいだろう。登録している5人の二種登録選手をフルに活用して、選手の負担を下げたいところ。週末の町田戦に勝たないと意味がない。