今回のオリンピックで4継には期待していた。個人のタイムも十分戦える水準にあるし、何よりも予選で見せてくれたパフォーマンスは素晴らしかったからだ。ただ、若い選手たちだけに、大舞台で緊張してしまう可能性も大いにあるとは思っていた。
そして迎えた決勝。そんな懸念は、一切不要だった。山縣は、ジャマイカのパウエルを凌ぐ出足を見せて飯塚につなぐ。そしてバックストレートでバトンを受けた桐生が一気に加速すると、レースはそこが中心になった。コーナーを回った桐生からアンカーのケンブリッジにバトンが渡るその瞬間、日本はおそらく先頭に立っていた。テレビで観戦していた僕は、その場面で思わず声が出てしまうほどの興奮を感じていたのだ。