【コミック】BLUE GIANT第8巻

ジャズ・プレイヤーを目指してテナーサックスを吹く宮本大を描くストーリー「BLUE GIANT」の第8巻は、またしても行間に音が満ちていた。サックスというと華麗にメロディを奏でる印象があるが、ビッグバンドなどではリズムを刻むことも多い。そんな音の違いが、この作品ではしっかりと描き分けられている。ドラムスのタムの音も、微妙な音色がカタカナで表現されているのだが、わかる人にはたまらなくなってしまうニュアンスがそこにはある。

そして、ジャズの醍醐味はインプロビゼーション。つまり、プレイヤー同士の「即興」の掛け合いがミソだ。曲の入りはもちろんのこと、ソロに入るタイミングや順番、他の楽器が入って来るときの息の合わせ方などが重要なのだ。この作品には、それらもきっちり描かれている。だからこそ、「行間に音が満ちている」のだ。

第8巻では、宮本大のバンド「JASS」がフェスティバルへの出演を決め、いかにもヒールの設定だろうと見える他バンドのプレイヤーが沢辺を煽る展開で終わる。次巻では勧善懲悪が待っているのか、あるいは夢破れる展開なのか、思わせぶりが絶妙な終わり方だった。