【コミック】Blue Giant Supreme 10

Blue Giant Supremeは、いつも行間から音が聞こえるような描写が素晴らしいと思って読んでいる。今回の第10集でも、それは変わらなかった。主人公の宮本大がオンステージでもオフステージでもますます自信に満ちた振る舞いを見せ、ライバルとして登場するアーネスト・ハーグリーブスとのスタイルの違いも面白いし、しっかり絵で表現されている。

ジャンルにこだわらずに音楽を聴く僕にとっては、ジャズ対ロックという構図には違和感があるが、実際そのような対立関係があることは理解できる。ただ、フュージョンとかファンク、プログレのようにジャンルの境い目を縫うような音楽もあり、一枚のアルバムの中でそれらをいったりきたりするプレーヤーもいる。あまり固定観念でとらえずに、純粋に音を聴くことが本質なのだと思う。僕自身、高校時代はオーケストラでクラシックを、大学時代はポップスオーケストラでフュージョンやロックを演奏していたから、浅く広くという志向なのだ。

ドラムスの練習風景が描かれている部分で、擬音の選択に対するこだわりも感じた。同じカタカナが規則的に繰り返されたり、奇を衒った見慣れない文字を使うのではなく、耳で聞こえた音を純粋にカナに変換したような表現なのだ。これは音楽をちゃんと聴いている人にしかわからないと思うが、ちょっとした変化やニュアンスが描き分けられているのは、この作品ならではだ。