【フィラデルフィア美術館展】充実の展示

東京都美術館で今日から開幕した「フィラデルフィア美術館展」を、さっそく鑑賞しました。展覧会を初日に見るのは初めてだったのですが、チケットブースの行列もなく比較的空いていました。展示されている作品の質はなかなか高く、楽しめます。ただ、最近どこの美術館もその傾向がありますが、無理やり導線をミュージアムショップに誘導しようとしているため、アメリカ美術の展示が付け足しのようになってしまったのは残念です。

現代美術のブラックやカンディンスキーオキーフの質も高いですが、やはりこの展覧会で目を惹かれるのは印象派の作品です。最初に興味を持ったのは、ピサロの作品につけられた説明です。ピサロといえば、雪やパリの街並みを描く際の白が特徴的な画家ですが、彼が眼病のために医師から強い光を目にしないように指導されていたということです。彼の作品の「白」は、そんな眼で見つめた光の再現だったのかと思うと感慨深く、こういう説明文は大歓迎ですね。

モネの作品からは、その色彩の特徴を感じました。(今回の展示にはない)睡蓮の作品群に通じるような、うす紫色を印象的に使った色の構成です。彼の眼には、何か1枚カラーフィルターが入っていたのではないかと思うくらい、共通性が感じられます。

そして僕の好きなルノワールの作品では「大きな欲女」が本展のポスターにも使われていますが、「ルグラン嬢の肖像」が秀逸です。細面ながらふっくらとした8歳のルグラン嬢の頬を彩る白人の肌色の色彩が、息を飲むほどに美しいのです。「フェルメール展」のように一点豪華ではなく、全般的にムラのない展示内容ですから、印象派以降の美術ファンには十分に楽しめると思います。

http://www.phila2007.jp/