【なでしこJAPAN】アルガルベカップ総括

優勝を狙った大会というよりは、ロンドンオリンピックに向けた準備過程のひとつ。その意味では、十分な成果だったと言えよう。ワールドカップを制したメンバーに加え、左右のサイドバックをこなす有吉、センターバック起用の目処がついた宇津木、ボランチ起用もあり得るスーパーサブ高瀬、そして澤のバックアップとしての田中も計算できるようになった。期待していたMF木龍も実力の片鱗は窺わせたものの、練習中のアクシデントもあって短い時間の出場にとどまってしまったことが残念だった。

一方で、不安はGKだ。ドイツとの決勝で起用された海堀は、前に出るタイミングが悪すぎた。勢いよく出てはクリアできず、中途半端に戻ってピンチを招いた。DF陣のカバーリングができていなかったとしたら、大量失点で負けていてもおかしくなかった。現時点でのGKの選択は福元だろう。ワールドカップでは結果を残した海堀だが、それで方向性を見誤ったのかもしれない。

しかし、何と言っても一番の懸念は、この準優勝で女子サッカーをよくわかっていないマスコミや国民が課題に期待してしまうことだ。「澤がいない中でアメリカに勝ち、ドイツに善戦したということは、澤が帰ってくれば金メダルが狙える」、そう思ったとしたら大間違いだ。今大会は真剣勝負をした国はなく、あくまで準備期間の位置づけ。6人までの交代というレギュレーションも、ベンチ入り人数もオリンピックとは異なる。なでしこに期待しないわけではないが、それはメダルの数を競いたいからではない。純粋に良いゲームをして、負けないで終わって欲しいだけなのだ。