【東京JAZZ】ガリアーノ&寺井尚子の名演

有楽町の東京国際フォーラムで開催されているTOKYO JAZZ FESTIVAL 2011。昨年はマーカス・ミラーに魅了されたこの音楽祭で、今年はそのマーカス・ミラーもデイビッド・サンボーンも、そしてセルジオ・メンデスも捨てて選択したのは「寺井尚子リシャール・ガリアーノ"ザ・ピアソラ・プロジェクト" with オーケストラ・カメラータ・ドゥカーレ」でした。以前NHKの放送で過去のTOKYO JAZZを見て、寺井尚子のヴァイオリンとリシャール・ガリアーノバンドネオンのハーモニーに興味を持っていました。ピアソラ・プロジェクトということなので、タンゴ色も全開だろうから、雰囲気にも浸れると思ったのです。

JAZZ PICTUREと銘打った9/3(土)の昼公演は、まずカウント・ベイシー・オーケストラが登場。余裕綽々の演奏で、派手なソロはないものの楽器の音色だけで楽しめてしまいます。"Kansas City Shout"や"Who me?"など、ビッグバンドらしいスウィングを聴かせてくれました。興味深かったのが指揮者のデニス・マクレル。腕を振って拍子を示すのではなく、歩き回ったり手を叩いたりしてカウントや「入り」の合図を出します。練習なしにあの指揮で曲を演奏するのは、かなり困難でしょうね。

続いてお目当ての「寺井尚子リシャール・ガリアーノ"ザ・ピアソラ・プロジェクト" with オーケストラ・カメラータ・ドゥカーレ」。いきなり3楽章からなる大曲"Opal Concerto"を演奏し、寺井が息を切らしながらMCを務めます。寺井がアコーディオンバンドネオンの音の伸び方を意識して、それに合うボウイングで演奏すれば、ガリアーノは寺井を見守りながらうまくサポートしていました。まさに阿吽の呼吸で、伴奏のイタリアのオケも含め、素晴らしい演奏に観客の反応もかなりのものでしたね。

そして最後はミシェル・ルグラン・トリオ。大ベテランのピアノは繊細で、ドラムスとベースの円熟味も加わって「大人の」時間を過ごせました。映画音楽中心でボーカルは趣味の世界でしたが、アンコールで「シェルブールの雨傘」のダンス・バージョンを演奏してくれ、これで満足度がかなり上がりました。

どのプレイヤーも楽しそうに演奏していたのが印象的でした。やはり聴衆を楽しませるには、自分たちが楽しんでいないとダメですよね。

http://www.tokyo-jazz.com/