【アジアカップ】準決勝のゲームプラン

サッカー・アジアカップ準決勝で、日本代表は韓国相手に120分で決着がつかず、PK戦の結果で決勝進出を決めた。このゲーム、見どころは多かったが、注目したいのは両監督のゲームプランだ。韓国代表監督の趙広来はフレッシュな選手を早めに投入して90分で勝ちに行った一方、ザッケローニは明らかに延長、PK戦までを見据えた選手起用だった。準々決勝も延長を戦い、中2日でこの日を迎えた韓国にとって、早期決着は必須だったのだろう。

ザッケローニは交代カードをなかなか切らなかった。そして、PK戦をも想定していたからこそ、GKに川島を起用したのだと思う。大分サポーターだから西川周作のことはよく知っているが、決してPK阻止の得意なGKではない。結果として川島は2本セーブして、大いに貢献した。今大会のザッケローニ采配は、目立たないが当たっていると言える。

ただし、守りにいったゲームで追いつかれたのは大問題。守り切れないことは、カテナチオの国の監督にとっては耐え難いことだったはず。最終ラインを増やしたために前線でのキープができなくなってしまったが、長谷部の負傷がなければ消えていた遠藤を柏木あたりに代えるべきだった。松井の離脱で経験ある攻撃的MFが不足しており、本来ならもう1枚交代カードが欲しいところだ。

日本の1点目は、本田のスルーパスも長友のフリーランニング&クロスも完璧だったが、それ以上に素晴らしかったのがボールを受けるまでの前田のポジショニングだ。オフサイドポジションから戻って、さらに相手DFから消える動きは秀逸だし、美しくさえあった。あのプレーがコンスタントにできるようになれば、ワールドカップでのベスト4も大風呂敷ではなくなる。