【国立西洋美術館】クラーナハ展

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上野公園の国立西洋美術館で開催されている「クラーナハ展」へ。綴りはCranachなので以前は「クラナッハ」という表記で記事を書いたことがありますが、今回は公式表記に従って「クラーナハ」とします。以前パリで見たクラーナハは、もっと研ぎ澄まされた冷徹な表情の記憶しかなかったのですが、この展覧会では宮廷画家だったクラーナハが巧みに対象の表情を描き分けていることに気づかされました。

賢明さ、人懐こさ、秘めた決意などを、表情の微細な違いで表現する技術は、天才的と言ってよいでしょう。世界観も独特で、ピカソマン・レイらがクラーナハ作品のオマージュを制作しているモチベーションはよく理解できます。
貞潔を奪われて自害するルクレティアを扱った作品は、静かではありながら内に秘めた激しさを思わせる傑作です。

同じ名前の息子もまた画家で、どちらによる作品かわからないものもあるようですが、表情の描き方のていねいさには違いがあるように、僕には感じられました。