【仏映画】みなさん、さようなら。

何の映画か忘れましたが、単館系の映画を鑑賞した際に見た予告編に興味を持ったまま、フランス語の映画だということで敬遠したままだったこの映画を、BSジャパンの録画で見ることができました。正確に言うとフランス・カナダ合作の映画で、カナダのフランス語圏であるケベック州モントリオールを舞台に描かれる人間ドラマです。

主人公のレミは重病で死の床にあり、疎遠だった息子のセバスチャンが呼び寄せた旧友たちに囲まれて最期のときを過ごします。フランス映画らしい理屈やイデオロギー、そして麻薬やセックスといった要素がごった煮のように表現されますが、あまり堅苦しくならずに楽しめてしまうのは、いかにもカナダらしい自由奔放、あるいは放任・不干渉というところでしょうか。

人間は死を受け容れなくてはならないけれど、その死の迎え方を選択する権利はあるのだと、いやなくてはならないのだと考えさせられました。バカ笑いしながら女の話をしまくっていても、宴の後には死への恐怖に苛まれる主人公をレミ・ジラールが好演しています。この作品はカンヌで脚本賞と主演女優賞を取っていますが、それもうなずけます。

だけど同時に、なぜ作品賞を取れなかったのかも、納得できてしまうのです。それは音楽を含む音響効果の単調さと、カットを切り替えるときの芸のなさ。それは裏を返せば、ハリウッドと違って娯楽に徹しきれないフランス趣味なのかもしれません。

http://www.tv-tokyo.co.jp/telecine/cinema/sayonara/index.html