【映画】アーティスト

この映画は純粋に商業ベースの作品というより、無声映画へのオマージュであり、穿った見方をすれば映画祭やアカデミー会員に対するご機嫌取りとも見ることができます。トーキーに取って代わられた無声映画の時代を賛美しているのは、アザナヴィシウス監督の心の声だとは思います。ただ、このフランス映画を「売れる」と判断するのは、「映画界の内輪受け」によって票が集まることを見越しているのではないでしょうか。

ただ、作品としての魅力がないわけではありません。主演のジャン・デュジャルダンベレニス・ベジョは、非日常的な「芝居がかった演技」を演技することによって無声映画らしさを存分に醸し出しているし、それがわざとらしくない仕上がりなのです。BGMは盗作論議もあるようですが、作品としてはまとまった世界観が感じられ、ストーリーに入り込むことを可能にしてくれます。

アカデミー賞で今年度最多の5部門の受賞となったことを過度に期待してしまうと、やや物足りなく感じるかもしれませんね。気軽に構えて鑑賞すれば、シンプルな魅力が伝わってくるのではないかと思います。

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