デビスカップのDay-2はダブルスから。ニール・スクプスキとジョー・ソールズベリーという強敵に対しても柚木武の迫力あるサーブは有効だったし、綿貫陽介のサービスゲームでも十分に渡り合っていた。ただし、それも日本のサービスゲームでフリーポイントを狙うことが前提。ラリーになれば百戦錬磨のジョーとニールの方が明らかに上だった。特にダブルスならではのアレーに落とすダウン・ザ・ラインは絶妙で、一方ディフェンスでもジョーとニールが2フロントでネットに並ぶと、穴を見つけることは不可能に近かった。
綿貫がイギリスペアの強いショットに面を合わせ切れない場面は多くあり、結局のところ柚木と綿貫は 6(4)-7 6(3)-7 で敗れてしまったが、圧倒的にランキング上位のジョーとニールにブレークをひとつも許さずタイブレークの末の敗戦なので、十分すぎる内容と評価してよいだろう。ブルボンビーンズドームも大いに盛り上がっていたので、興行的にも意味があったし、続く西岡良仁にもパワーと勇気を与えたに違いない。
その西岡は、実に彼らしいテニスを繰り広げる。球種を変え、相手のミスを待つセンターセオリーかと思いきや一転して攻めに転じる。サイドライン際に巻いてくるボールを落とし、抜いたサーブでタイミングを狂わせる。これでポイントを失ったジェイコブ・ファーンリーは、メンタルをかなり削られることだろう。
ファーストセットを危なげなく取った後のセカンドセットは、第3ゲームで絶妙なロブを2つ立て続けに決めて、そのままブレークに成功。ブレークアップを追いつかれながらも、タイブレークで振り切った。タイブレークでは、ファーンリーが最初のサービスをダブルフォルトで落としたが、明らかに力んで空回りしていた。そこにつけ込んで7ポイントを連取した西岡の「嗅覚」が素晴らしかったということだろう。
昨日の好調さを維持できなかったファーンリーの敗戦によってイギリスは一気に苦しくなったが、好不調が日によって入れ替わってしまうのはテニスの怖いところでもあり、面白いところでもある。
最大のヤマ場をモノにした日本は、Rubber-5で錦織圭がビリー・ハリスと相対する。香港からメルボルンで見せていた圧倒的な錦織ではなかったが、それでも昨日よりは数段良い出来。相変わらずネットプレーには甘さが目立ったが、ハリスが相手ならそう簡単にチャンスを与えることもない。ブレークポイントは3本許しながらも、結局すべてしのいだ錦織が 6-2 6-3 で勝利し、2,500人の観衆で満員のブルボンビーンズドームは大歓声に包まれた。
もちろん選手の貢献は大きいが、選手たちが笑顔すら見せながら萎縮せずに力を発揮できたのは、間違いなく添田豪キャプテンのおかげだ。ベンチでは厳しい表情を崩さなかったが、オンコートインタビューの冒頭の茶目っ気が彼の持ち味を表していた。