満員御礼のブルボン・ビーンズドームに英国を迎えた添田ジャパンのRubber-1は、西岡良仁とビリー・ハリス。サーブのよいハリス相手にうまくラリーに持ち込み、ウィナーを狙うのではなく相手のミスを誘う西岡。そのためにフォア側にボールを集めたり、いつもの多彩な球種をしぶとく打ち続けたりという中でドロップショットを打てばよいのにと思う場面が多くあったが、あまりその選択は取らなかった。
ファーストセットを競り勝った後のセカンドセットでは攻めに出るタイミングが早くなった印象で、勝負どころでは鋭いダウン・ザ・ラインのウィナーも飛び出した。狙うコースも絶妙なら、その通りに落とすテクニックもお見事。セカンドセットは余裕すら感じさせる展開になり、結局 7-5 6-1 のストレートで西岡がまず1勝を勝ち取った。
Rubber-2の錦織圭とファーンリーの試合は、錦織の出来がどうこう言う前にファーンリーが素晴らしかった。ドレイパーもノリーもいない英国チームにおいて、エースを任された重みだったのだろう。表情からも決意のほどが窺われたし、攻める意識も非常に高かった。セカンドセットでようやく錦織が1つブレークしたものの、直後に返されて流れをつかめなかったのが響いてしまった。
ただ、錦織には気になることがある。まずは、ネットを取った際にスマッシュが一発で決まらないこと。そして、ロブが上げられないことだ。これらはもともとの傾向とも言えるが、始まったばかりの今シーズンでもすでに何度も繰り返されている。ネットに出るタイミングはよいのだが、そこでポイントをきっちり取れないことで試合が長引いたり、勝ち切れなかったりという結果になるのは致命的とも言える。
これで1-1のタイとなったが、カギを握るのは明日のダブルス。スクプスキとソールズベリーというダブルス巧者を揃えた英国に対し、日本は秘密兵器の柚木武をぶつける。そのパートナーは綿貫陽介が予定されているが、今日の会場に姿を見せなかった内山靖崇を使う可能性もありそうだ。戦術的に隠したようにも窺われるのが、内山はかつてソールズベリーと組んで楽天ジャパンオープンにも出場していただけに、相手にとっても与しやすくはないだろう。マクラクラン勉もコーチとして帯同しているので、戦術的にもプラスになっているはずだ。