【ラグビー】日本―イングランド

ラグビーの母国イングランドを国立競技場に迎えたエディ・ジョーンズ率いる日本代表は、結果的に完敗した。僕も生観戦しようかという気持ちもあったのだが、価格設定が高すぎる上にダイナミック・プライシングを使っていて納得感も得られなかったので、おとなしくテレビで見ることにした。44,000人を集めたようだが、このプラチナカードに空席があること自体がもったいなく、もっとラグビー人気を煽るために有効に使えなかったものかと思う。

マッチメイクの意味も考えてみた。第2次エディ体制としては初陣となるテストマッチイングランドを選び、その後にマオリオールブラックスを挟んでジョージアとイタリアとのテストマッチをもってきた。普通に考えれば、勝てそうな相手と当てて勢いをつけてから強敵に臨むものだと思うが、今回はまったく逆だった。

今日の試合内容を見てから振り返ってみると、日本協会やエディ・ジョーンズは、イングランドについて勢いをつけた後でも勝てる相手とは思っておらず、逆に世界の高いレベル感を味わった上で自分たちなりにできることを積み上げることを意図したのではないか。それであれば、SH藤原の投入で流れを変え、2トライをもぎとったことの意味が見えてくる。

前半~後半途中まではパスの距離が短く、キックも活用できていなかった。これは言い換えるなら、選手たちの視野が狭く、ピッチ全体を俯瞰できていなかったということ。ブラインドサイドに相手の隙があっても、オープンサイドしか見ていないシーンもあった。一方でトライを挙げた前後では長いパスもあり、キックを使った前進も見られた。現代のラグビーにおいて、各駅停車のパスワークとサポートだけでオープンスペースを作ることは、ほぼ不可能なのだ。

それにしても藤原忍という選手は、本当に面白い。スクラムハーフというと、特に日本では「真面目でクレバーな策士」というイメージなので、彼のようにやんちゃでアグレッシブなタイプは珍しい。感情のコントロールは必要だが、ハマれば大きなことをやってくれそうな期待感を大いに抱かせてくれた。