【北欧ドラマ】刑事ヴィスティング~悪がうごめく町~

ノルウェーの製作で、Viaplay経由でWOWOWオンデマンドから配信されているドラマ。WOWOWでは原作のシーズン2と3をひとつのシーズンのように扱っているので、全8話の前半の後半では、まったく異なる事件を追うことになる。前半は囚人が現場検証の際に逃亡し、手榴弾の爆発でヴィスティングの同僚であるトールン刑事が亡くなってしまう。後半は、ヴィスティングの過去の夫婦生活が明かされ、娘リーネとの確執が描かれる。

後半では、シーズン1に登場したFBI捜査官マギーが再登場したり、これまではまったくそのようなシーンがなかったにも関わらず、リーネのベッドシーンを描くなど、視聴率対策を取ったかのような要素が散見された。伏線の張り方にはちょっとやり過ぎ感もあるが、複数の可能性を持たせながらの展開は、興味を失わずに見進めることができる。4話をひとかたまりと考えれば、長さもちょうどよい。

ヴィスティングの息子トーマスを演じるヨナス・ストラン・グラヴリは「ラグナロク」でラウリッツ役を務めていた俳優だが、同一人物であることに今回ようやく気づいた。本作での「よい息子」と「ラグナロク」でのヒールの演じ分けが見事だからなのだが、実年齢は33歳なので、どちらの役もかなりサバを読んだ設定ではある。

ラルヴィクというノルウェー南部の田舎町が舞台で、首都オスロや隣国スウェーデンイエテボリにもつながり、スカンジナビア諸国のつながりが実感できる。のどかな自然が映し出されるが、厳冬期には恐らく心細いくらいの辺境になるのだろうと思うと、単純にリゾートとして捉えることは難しいし、福祉国家という印象もさほど感じられない。作中にあった「このままでは純粋なノルウェー人がほとんどいなくなってしまう」という危機感も、EU全体に共通した切実な悩みなのだろう。