【映画】ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

ファンタビシリーズの第3作だが、正直なところ前作の記憶がほとんどないので、そもそも誰がどういう設定かを思い出しつつの鑑賞だった。さすがにビジュアルエフェクトや人間以外のキャラクターの造形は素晴らしく、風船のように浮上した生物が竜のように飛行する場面では、そのアイデアに感動すら覚えたほど。「マグルのパン屋」コワルスキーがなぜそこにいるのか疑問ではあったが、彼が活躍してくれることを期待していたので、その点も違わずに作られていて安心した。

ただ、143分という長い時間、興味を引き続けておけるだけのストーリー性はなかったように思う。ハリーポッターシリーズはホグワーツでの学年ごとに章立てされているので、それぞれの作品の位置づけがわかりやすかった。一方、ファンタビは事件をベースに組み立てられているものの、その因果関係や必然性の説明が弱いので、展開を読んで先に期待する気持ちになりにくい。キャラクター同士の関係やエピソードも取ってつけたような印象があり、世界観にのめり込む状態にはなかなかなれないのだ。J.K.ローリングは細部へのこだわりが魅力の作家なので、全体像としての世界観をどう描くかは製作陣にかかっている。

そんな中、本作でよかったことの一番手はマッツ・ミケルセンの起用だ。ジョニー・デップの降板という致し方ない状況での判断だったとは思うが、グリンデルバルド役にマッツは完璧なキャスティングだった。「演技臭くなく、自然に悪役をこなす」ことはジョニデにはなかった部分であり、それが本作では奏功していた。